木造住宅の断熱や気密、換気についてわかりやすく。

北海道をはじめとする寒冷地では、住宅を建てようとする場合、「断熱」をどのようにすればよいか。日々のランニングコストは実際にはどれくらいかかるのか。工務店やハウスメーカー、設計事務所の仕様にはそれぞれ色々な数値や材料が並んでいるけれども、どれをどう比べていいものか。そしてその仕様の値段は安いのか高いのか。情報が溢れすぎていて、何をどう判断すればよいのかわからないという方がほとんどではないでしょうか。なかには、とても勉強されていて詳しく、専門家のような知識をお持ちの方もいらっしゃいます、しかしほとんどの方はそれらの専門用語の多さに辟易して判断することすら難しくなっているのではないでしょうか。多くの専門用語の意味を正確に把握して施工方法の違いなど、細かく勉強してからそれらを比べるとなるととても労力がかかってしまいます。そうした、ごく普通の方々でも、家電を選ぶように断熱や気密、その他の温熱環境のことを判断できるようにできないだろうか。そんな想いから出来るだけ簡単にわかるような断熱や気密についてのコラムを書いてみたいと思い、このコラムを始めることにしました。 もちろん、私は温熱環境の分野の大学の先生ではないので、体系的にまとめた論文というものは書けません。ただ、もう少し気軽に、いつも施主に説明しているようなかたちで、そうしたことを書いてみたいと思っています。なので、できるだけわかりやすく、ときには乱暴なほど単純に。自分の考え方も入れながら書いてみたいと思います。

 自分が大学で建築を学び始めたころ、「建物は用・建・美」のバランスが大切だよ。と習いました。「用」というのは機能や性能、「建」というのは堅牢さのこと、例えば耐震性ですね。「美」というのは言うまでもありませんが、美しさ、空間の豊かさです。 この3つのバランスが大切だと。バランスの取り方は人それぞれ、考え方次第で良いと思いますが、自分はどこに重点を置くか、もう少し平たい言い方をすればにいえば、どこにおカネをかけたいかということを考えるためのお手伝いになればと思っています。

昨今では、省エネの機運が高まり、工務店やハウスメーカーは各々の仕様について如何に自分の会社の製品や仕様が優れているかということをアピールし、そうした情報に溢れています。そうした情報に触れたときに、皆さんがおおよその判断ができるようになることを目指してこのコラムを始めたいと思います。それではよろしくお願いいたします。